アメリカに来てから自分の生活が変わり、自分自身も変わった気がしました。
いつもよく行っていた映画館(広島のサロン・シネマ、シネ・ツインは素晴らしい映画館です)に行けないばかりか、近所の映画館はハリウッド映画しか上演してないし、レンタル・ビデオ店も同じくハリウッド映画やボックス・オフィスのトップ10映画のようなものしか置いていない。
いつもハシゴして回っていた本屋も、アメリカでは当たり前のように本は全て英語。気後れするだけで、全然ワクワクしない。
そんな生活が数年続き、気が付いたらほとんど本も読まず、映画もハリウッドものばかりを見る生活になっていました。
「これは本当の私じゃない」
これを思い出させてくれたのは、Conchにある、これまた素晴らしい映画館、Tropic Cinemaのおかげだと思います。この映画館は小さい町の小さい映画館にも関わらず、ヨーロッパ映画や質の良い映画を上演しています。
ようやく英語で映画を観る事も本を読む事も、だいぶ“当たり前”になってきた所で、昔の自分を取り戻す努力をすることにしました。と言っても、映画館にしょっちゅう行くのは高いし、本を買うのも高い。
まず始めたのがNetflix。最初はNetflixのシステムに半信半疑だったのだけれど、2日余りでDVDは届くし、セレクションもレンタル店よりはずっとマシで、日本映画すらあります。
Netflixが大好きになった頃に、“同じようなシステムで本を借りる事ができないものか?”と思い、ネット検索しました。いくつかのサービスを見つけたのですが、どれも月会費が結構かかる。結構なお金を払った後に手元に一冊も本が残らないというのも、少々納得がいきませんでした。そうするうちに、一番格安でNetflixの“本”版をやっているPaperBackSwap.comを見つけました。
PaperBackSwap.comを私が始めた時には、まず自分の本を10冊登録し、それを元に3クレジットもらえました。この1クレジットで1冊の本を“他の会員の本棚”から注文する事ができます。注文した本は他会員の郵送料持ちで送られてきます。逆に、他会員が自分の手持ちの本を注文してきた場合は、自分が郵送料を払って本を送ってあげます。十分なクレジット数が無い場合は、3クレジットを10ドルくらいで購入する事もできます。
このPaperBackSwap.comにはちゃんとしたルールが存在するので、本の状態もそう悪くなく、1人以上の手を回ってきた本=元の持ち主以外から回ってきた本は、2冊くらいでしょうか。現在までで、私が他会員に送った本は32冊、他会員に送ってもらった本は40冊です。
そしてある日、PaperBackSwap.comのフォーラムでBookcrossing.comについて書いてあるポストを見つけました。どうやらBookcrosssingをやっていた(あるいはやっている)会員がPaperBackSwap.comをみつけ、こちらでは自分の提供した本が確実にクレジットとして自分に返ってきて、自分の読みたい本を手に入れる事ができるので良い、というような話でした。そしてPapaeBackSwap.comでは本のコンディションのガイドラインがあるので、本がきれいで良い、とも。
そういう話を読みつつもBookcrossingに興味を持った私。PaperBackSwap.comの会員の中には、Bookcrossingに登録した本をPaperBackSwap.comでスワップしている、Bookcrossingで本をトラッキングできるしジャーナル(感想)の交換もできる、と語っている人もいました。それも悪くない、と思った私。PaperBackSwap.comに登録したものの、すでに何百冊も登録があって、注文が回ってくる事はしばらくは無いだろうと思われる本をBookcrossingでリリースしてみる事にしました。
そうやって興味半分、少しのコミットメントで始めたBookcrossing。そんな私の印象を変えたのが、フォーラムで出会ったKimKerryさん。Bookboxなるものをオファーしていたので、参加希望を出したのですが、残念ながら参加はできませんでした。その代わりに彼女は残念賞として、私がプロフィールにWishlistとして挙げていた"Book Thief(本泥棒)"を送ってきてくれたのです! しかも新品で!! この出会いが私のBookcrossingに対する気持ちを変えました。 この後、最初のBookringとして回ってきた"A Thousand Splendid Suns"も非常に良いコンディションの本です。この本を送ってきてくれたKimmiさんはカナダから10ドル余り払っていました。他の人にも読ませてあげたい、という気持ちだけで、郵送料を払い、しかも途中の心無い他会員に盗まれるリスクもある中で本を送ってくれるというのは、本当に感動する余りです。
今後、どれだけたくさんの本を私が提供する事ができるかは分かりませんが、少しずつ、そして長くBookcrossingに参加できればと思っています。
|